NineTwo Productionsの、全世界に及ぶ地表の起伏データ(メッシュ)を作成し無償で公開しようという大変野心的なプロジェクトについてのメモです。
FreeMeshXといいます。
紹介とも言う。
目次
せっかちな人のためのまとめ
・地球がLOD9かLOD10になるメッシュ・FTX Global BaseとFTX Global Vectorを持ってるならとりあえず入れていい
・空港のelevation問題はFTX VectorのConfig Toolを使おう
・地表の解像度に興味があるならFS Global 2010もついでに買おう
・FS Global 2010と一緒に使って問題ない。むしろ同時使用推奨
・なおでかい
これは何?
PILOT’S FS Global 2010やFSGenesis World Terrain Mesh for FSXに代表されるTerrain Meshの一つです。NASAが公開しているShuttle Radar Topography Missionによって得られた地形データを利用して、全世界の標高データをFSX/P3D(以下シミュレータ)で読み込める情報にして、無償で公開してくれています(寄付受付有り)。
このデータから作成された情報の精度は、シミュレータ標準の最高精度であるアメリカ合衆国本土のLOD10に相当します。
低高度、VFRで飛ぶのが好きな人には強く強くオススメします。
山や谷といった起伏で判断する地標物が明確になりますし、風光明媚なロケーションを探索するのも楽しみになるでしょう。
一度公式のスライドを見て、その効果を実感してみて下さい。
http://ninetwopro.com/freemeshx/
一番下に、デフォルトと導入時の違いが切り替わって表示されるスライドショーが貼りつけられています。
ただし、問題解決を一部のペイウェア(Orbx Global Vector)に依存しているという欠点があります。
導入は以下の特徴と課題(ページ内リンク)を見てから検討して下さい。
もしくはせっかちな人のためのまとめ(ページ内リンク)を見て下さい。
LODについてのメモ
LODはLevel of Detailの略で、シミュレータが地形の起伏を描画する際の解像度を現しています。地球表面をマス目に区分けして、そのマス目ごとに高度を設定していると考えて下さい。マス目が大きければ広い領域に一つの高度データを持つことになるから地形の起伏はなだらかだし、マス目が細かければ険峻な山脈を表現出来ます。
「LOD」の後ろにくっついている数字は、マス目をどれだけ細かく区切るかを現しています。数字が大きいほど、細かく区切っているということです。
LODとマス目の大きさの関係はこんなかんじです。
LOD | マス目の大きさ | デフォルトの地域 |
LOD6 | 608.03 m | シミュレータ標準の解像度(以下の地域以外全て) |
LOD7 | 304.01 m | * |
LOD8 | 152.01 m | * |
LOD9 | 76.00 m | * FreeMeshXの標準解像度 |
LOD10 | 38.00 m | アメリカ合衆国本土、ハワイ、アラスカ |
LOD11 | 19.00 m | なし |
LOD12 | 9.50 m | なし |
LODが高い方が細かい地形データなのですが、データ量と描画負荷を考えると細かければよいと言うわけでもありません。
砂漠や雪原のような平坦な領域ならLODは低くて構わないし、山岳や丘陵地帯はLODが高いほうがいい。
標準のシミュレータはこのあたりのバランスを取ってデータを登録しているようです。
特徴と課題
特徴
1. NASAのSRTM3.0を利用したLOD9およびLOD10の精密な起伏データ
2. 無償で利用可能で、データは随時更新中
3. 既存のメッシュ製品との高い互換性
4. P2Pによる高速データ配信
課題
1. 起伏変更による副作用(空港のelevation)に対する一部ペイウェアへの依存
2. (おそらく)フリーシナリー最大のデータ容量
特徴
NASAのSRTM3.0を利用したLOD9およびLOD10の精密な起伏データ
元データは3秒度(約90mごと)、1秒度(約30mごと)の全球データを持っているため、これをそれぞれLOD9(76m),LOD10(38m)に丸めることで、シミュレータにおける標準地形解像度をLOD9まで引き上げます。単純にデフォルトの解像度がおよそ7倍になるということです。
これが
こう
あんまり変わらないように見えますか?
公式のスライドにもっと面白い例も記載されていますので一番下のスライドを参照して下さい。
http://ninetwopro.com/freemeshx/
無償で利用可能で、データは随時更新中
表示、非営利、改変禁止のCCライセンスで公開されているため、このライセンスのもとメッシュデータは誰でも無償で利用可能です。また、データは問題の発覚やSRTMのアップデートに対応して随時更新されています。
既存のメッシュ製品との高い互換性
シミュレータは利用できるメッシュのうち最も解像度の高いものを表示するため、FS Global 2010やFS Genesisといったメッシュを提供するペイウェアなどとも併用可能です。FreeMeshXはLOD9及びLOD10を提供しますが、上記のペイウェアはLOD11やそれ以上の解像度を持つメッシュを持っていますので、併用はNineTwoからも推奨されています。( 時々セールで安くなります )
P2Pによる高速データ配信
FreeMeshXは全球に及ぶデータを持つため、配信容量がかなり大きいです。これに対応するため、Bit Torrentを使ったP2Pによる分散ダウンロードが提供されています。
http://ninetwopro.com/freemeshx/bit-torrent-download-links/
もちろん、httpによるダイレクトダウンロードも提供されています。
課題
起伏変更による副作用(空港のelevation)に対する一部ペイウェアへの依存
これが一番大きな課題と言えます。シミュレータは地表の高度情報とは別に、空港が存在する高度を保管しています。
地面の高度が変更されても空港の高度は変わらないため、結果として滑走路が浮いたり、逆に地面に沈み込んだりする事象が発生します。
空港周囲の地表の高度が変わらなければ問題ないのですが、多くの地域を高精度に置き換えるFreeMeshXはこの事象を多く内在しているはずです。
しかしながらNineTwoはこの解決方法を提供していません。
少人数のチームで無償のプロジェクトを行っており、またこれはプロジェクトそのものの課題でない以上、これは当然の対応でしょう。
代わりに彼らは回避方法を提案しています。
推奨する回避方法は、FTX Global Vector(ペイウェア)に付属するFTX Global Vector Configuration Toolを使用する事です。このツールはシミュレータの情報を精査して自動的にこの問題を解決する機能を提供しています。
なお、FTX Global VectorはFTX Global Baseを必要としますので、この両方を所持していないとこの解決法は使用できません。
FTX Global Baseもペイウェアです。
それ以外の方法として、NineTwoは次の手段を(自己ツッコミしながら)提案しています。
1. 空港周囲のメッシュを手動で修正する (これはないな)
2. 空港周囲のメッシュを平滑化するようなツールを作る (不便)
3. 空港の高度情報を更新する (不便)
(戯言)
とはいえ、低高度をVFRで飛ぶためにFreeMeshXに興味を持つ人ならたぶんFTX BaseとVectorは必須だと思います。この機会か、次のセールで購入することをお勧めします。そのときはFS Global 2010も買いましょう。
地図を頼りに地標物を目指して飛ぶのは楽しいものです。
(おそらく)フリーシナリー最大のデータ容量
400GBを越えるデータを最適化して42GBにまで落とし込んだ、とのことです。1.05だとこう
何、一晩あれば落ちてきます。
導入方法
ここ(Bit Torrent)かhttp://ninetwopro.com/freemeshx/bit-torrent-download-links/
ここ(MediaFire)から手に入れて
http://ninetwopro.com/freemeshx/download-links-direct/
ここを見て導入して下さい
http://ninetwopro.com/freemeshx/fmx-installation/
シナリーを手動で導入したことがある人なら迷わないはず。
おわり。